求人を出した。ハローワークにも載せた。それでも、1件も応募が来ない。来ても、来てほしい人ではない。「もう給料を上げるしかないのか」——そこまで考えている社長に、先にお伝えしたいことがあります。応募が来ない原因が給料であることは、実はそれほど多くありません。多いのは、求人票に「書いてある中身」が、求職者の知りたいことと噛み合っていないケースです。そしてここは、お金をかけずに直せます。私は板金塗装の職人を15年やって、2024年にWebの世界に来ました。だから、求人を出しても人が来ない側の景色も、応募する側が何を見ているかも、両方分かっているつもりです。この記事では、応募が来ない求人に共通する3つの原因と、明日から自分で直せる書き換え方をお話しします。なぜ求人を出しても応募が来ないのか?原因は大きく3つです。①求職者が知りたい「働く自分の姿」が書かれていない、②職種名が社内の言葉になっていて検索に引っかからない、③応募の一歩目が重すぎる。多くの会社は「①の中身が薄いまま、②の名前で出して、③で取りこぼしている」状態です。給料を上げるのは、この3つを直してからでも遅くありません。前提として、採用市場は完全に売り手市場です。厚生労働省の一般職業紹介状況によると、令和8年3月の有効求人倍率は1.18倍、令和7年度の平均は1.20倍でした。出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年3月分及び令和7年度分)」https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_72811.html同じ統計の職業別で見ると、建設・採掘の職業は5倍を超える月もあります。つまり、求職者1人を何社もが取り合っている。選ぶのは会社ではなく、求職者のほうです。「出せば来る」時代の書き方のままなら、来ないのは当たり前ということになります。原因1:求職者が知りたい「働く自分の姿」が書かれていない求人票を読む人が探しているのは、条件ではなく「自分がそこで働いている姿」です。多くの求人票は、会社側の事実だけで埋まっています。「溶接作業」「経験者優遇」「社会保険完備」。嘘は書いていません。でも、これを読んで「ここで働く自分」を想像できる人はいません。想像できないものに、人は応募しません。必要なのは、事実を入社後の体験に翻訳することです。同じ事実でも、こう変わります。右側は、特別なことを書いているわけではありません。すでにある事実を、求職者の生活の言葉に置き換えているだけです。書けない場合は、今いる社員に「入ってよかったことは何か」を3つ聞いてください。それがそのまま答えです。会社が思っている強みと、働く人が感じている良さは、たいていズレています。原因2:職種名が「社内の言葉」になっている求人は、まず検索で見つけてもらう必要があります。そして求職者は、あなたの会社の呼び方を知りません。Indeedやハローワークで仕事を探す人は、「製造スタッフ」「配送ドライバー」といった一般的な言葉で検索します。ところが求人票の職種名が「加工課オペレーター」「サービス職(A職)」のような社内用語だと、その検索に引っかかりません。誰にも読まれないまま掲載期間が終わります。職種名は「一般的な職種名+働き方や場所の条件」で作ります。✕ 加工課オペレーター○ 製造スタッフ(未経験歓迎/〇〇市・日勤のみ)✕ 現場作業員○ 建築塗装スタッフ(見習い可/〇〇市・週休2日)やってはいけないのは、引っかかりたい一心でキーワードを詰め込むことです。「製造 工場 軽作業 未経験 高収入 寮完備 日払い」のような並べ方は、Indeedでは規約違反として掲載が下がる扱いになります。入れるのは、本当にその仕事を表す言葉だけです。原因3:応募の一歩目が重すぎる応募は、決断ではなく「様子見」から始まります。ここを分かっていない求人が、最後の最後で取りこぼします。在職中の人は、いきなり履歴書を送りません。まず、スマホで会社名を検索します。そこで出てきたサイトが何年も前のままだったり、そもそも出てこなかったりすると、その時点で終わります。求人票が良くても、受け皿がないと応募にはなりません。さらに、応募の入口が「履歴書を郵送」しかないと、そこで止まります。「まず話を聞くだけ」ができる入口を1つ用意してください。LINEでの質問受付、見学だけの申し込み、電話で15分——どれでも構いません。ハードルの低い入口が1つあるだけで、動く人の数は変わります。このあたりの考え方は、問い合わせが来ないホームページとまったく同じ構造です。詳しくは「ホームページを作ったのに問い合わせが来ない。元職人が見た3つの理由」で書いています。〔↑この一文に記事1へのリンクを設定〕明日からできる3つの直し方お金をかけずに、今日中に着手できる順です。1. 職種名を書き換える一般的な職種名+地域名+働き方(例:製造スタッフ/〇〇市・日勤のみ・未経験歓迎)。キーワードの詰め込みはしない。2. 社員に3つ聞く「入ってよかったこと」を3人に聞いて、そのままの言葉で仕事内容欄に入れる。上の表の右側の書き方に直す。3. 軽い入口を1つ作る「見学だけOK」「LINEで質問だけOK」と明記する。応募=面接、にしない。この3つを直しても反応がなければ、そこで初めて給料や媒体を見直す段階です。順番を逆にすると、お金だけ出ていきます。よくある質問Q. 給料を上げないと応募は来ませんか?A. 上げれば有利にはなりますが、最初の一手ではありません。同じ給与条件でも、職種名・仕事内容の書き方・応募のしやすさで応募数は変わります。まずお金のかからない3つを直してください。Q. ハローワークだけで足りますか?A. 地域の中小企業ではハローワークは今も有効です。ただし在職中の人はスマホで探します。Indeedと、会社を調べられる受け皿(自社の採用ページ)を合わせて整えるのが現実的です。Q. 写真や動画は必要ですか?A. あったほうがいいです。求職者が知りたいのは「どんな人と働くか」だからです。プロの撮影でなくても、現場と働いている人の顔が分かる写真があるだけで印象は変わります。Q. 求人票を良く見せすぎるのは危険ですか?A. 危険です。実態と違うことを書くと、入社後にズレが出て早期離職につながり、地域では評判も残ります。書くのは「事実の翻訳」までにしてください。最後に応募が来ないのは、あなたの会社に魅力がないからではありません。魅力が、求職者の言葉になっていないだけです。私は15年、現場で手を動かしてきました。いい仕事をしている会社ほど、それを自分で言うのが苦手だということも知っています。だから私は、飾って良く見せるのではなく、すでにある良さを求職者の言葉に翻訳する仕事をしています。求人票を開いて、「これを読んで自分の子どもが応募したいと思うか」と考えてみてください。手が止まったら、そこが直すところです。整理するだけでも構いません。よければ、一度お話を聞かせてください。▶ まずは無料で相談する(しつこい営業はしません)※本記事の無断転載・無断利用を禁じます。